こんにちは!薬剤師のぷちゃんです(^^)/
今回は、お薬の飲み忘れ時の対応について解説します!
服薬指導の際「大切なお薬なので、忘れずにきちんと飲んでくださいね」とお話しすることがあると思います。
その時皆さんは「飲み忘れた時はどうしたらいいか」まで併せてお伝えできていますか?
服薬意義を伝えて、飲み忘れないことの重要性を指導することも大切だと思います。
ただ、毎日決められた通りに服薬するのは結構難しいです。
”ちゃんと飲まなきゃ”とわかっていても飲み忘れる時ってどうしてもあるんですよね。
その「忘飲み忘れた時」の対応まで伝えられると、より良い服薬指導になると思います。
はじめに|この記事を読む前に知っておいてほしい事
お薬の種類や患者の経過、治療の方針によって飲み忘れ時の対応は様々です。
特に、長期に渡り薬物治療を行う患者さんには、あらかじめ主治医に、”お薬を飲み忘れたらどうするか”の指示を確認しておくようお話ししましょう。
また、飲み忘れが多い、生活上指示通りに飲むのが難しいなど継続して服薬コンプライアンスが悪い場合には飲み忘れ時の対応ではなく、処方内容自体の見直しが必要になってきます。
適宜トレーシングレポートや疑義紹介で飲み忘れが少なくなるようサポートする事も重要です
※今回紹介するのはあくまで、添付文書や一般的な対応方法を参考にしており、万人に当てはまるわけではないので注意してください。

大切なのは患者さん一人一人の状況にあった指導をすることです!
01|基本の対応
多くの医薬品の「くすりのしおり」には
「飲み忘れた場合は気がついた時点で 1 回分を飲んでください。ただし、次の飲む時間が近い場合は、忘れた分を飲まないで、次の飲む時間に 1 回分を飲んでください。絶対に 2 回分を一度に飲んではいけません。」
と書いてあります。基本の対応はこの「くすりのしおり」の指示通りで問題ないです。
ここで気になるのは、この文の中にある「次の飲む時間が近い」かどうかの判断を患者さんがどうやってするのかです。私が最初に悩んだのもここでした。
そこで調べた内容を共有します
1日3回→次回まで4時間以上あける
1日2回→次回まで8時間以上あける
1日1回→次回まで12時間以上開ける
この目安を見ると、半減期や持続時間は無視でいいの?という疑問があると思います。
実際、各薬剤によって、間隔が近くなっても問題なかったり、1回くらい忘れても大した影響がなかったりするものはあります。
しかし大切なのは
患者さんにとって、わかりやすく・安全に・その後のコンプライアンスも維持できる方法
を指導することです。
そのための目安として参考にしていただければと思います。
02|飲み忘れの対応で注意が必要になるお薬
飲み忘れが重大な影響を与える薬
これらのお薬は飲み忘れにより、本疾患の治療に影響する場合があるので詳しく状況を聞いて可能であれば医師に連絡を取るようお伝えしましょう
食事の影響を受ける薬
服用時点の違いで生活に影響が出る薬

作用機序や薬効、服薬目的を考慮して、飲み忘れ時の対応を伝えるようにしましょう!
03|抗菌薬の飲み忘れ
ポイント:指示された分しっかり飲み切る事
ジスロマック(アジスロマイシン)
【処方例】
ジスロマック錠250mg 2錠 1日1回 3日分
【飲み忘れ時の対応】
気づいた時点で1回分服用し、次の文は予定通り服用。ただし次回が12時間以内の場合は12時間以上空けて服用する
【ポイント】
ジスロマックは半減期が長く、1回分の服用時点のずれはそこまで効果に影響しません。そのため、安全に服用できるよう忘れた場合は次回と12時間以上の間隔をあけて服用することを伝え、3日分最後まで飲めるように指導しましょう
クラリス(クラリスロマイシン)
【処方例】
クラリス錠200mg 2錠 1日2回朝夕食後 14日分
【飲み忘れ時の対応】
朝の分を忘れたらお昼まで、夕の分を忘れたら寝る前までであれば服用。服用間隔は8時間を目安。
丸1日忘れたら、その日の分は飛ばして翌日から指示通り再開する。
【ポイント】
朝夕食後の処方であるが、食後でなくても飲んで構わない旨を伝え、1日2回を継続できるよう指導すること。クラリスは長めに出ることがあるので、翌日に2日分飲まないようしっかり伝える。
フロモックス(セフカペン ピボキシル)
【処方例】
フロモックス錠100mg 3錠 1日3回毎食後 5日分
【飲み忘れ時の対応】
気づいた時点で1回分を服用し、次回は4時間以上空けて服用する。なるべく食後に服用する。
【ポイント】
朝昼晩でなくても4時間以上空けて1日3回しっかり飲むことが優先。空腹時では吸収が落ちるためなるべく食後の服用を奨める
04|降圧剤の飲み忘れ
ポイント:長期にわたるコンプライアンス維持が大切。過降圧のリスクも考慮して。
降圧剤全般
降圧剤は、連用した際の効果が重要なので、逆に「1回飲み忘れたからといって心配しすぎることなく翌日からしっかり飲めば大丈夫」ということも伝えておくと長期的なコンプライアンス維持に繋がります。
↓特に注意が必要な薬を紹介します
ラシックス(利尿剤)
【注意点】
ラシックスは服用後1時間以内に効果発現がありその後6時間程度は作用が持続するため、飲む時間が遅いと夜間頻尿のリスクになる
【飲み忘れ時の対応】
昼までに気づいた場合はその時点で1回分を服用する。夕方以降、特に寝る前6時間以内の服用は夜間にトイレに行きたくなる可能性があるので服用せず、翌日から指示通りに服用再開する。
ミカルディス
【注意点】
ARBの中でもミカルディスは食事の影響について報告があるため、普段の服薬条件に合わせること。
空腹時では食後より吸収が高くなるため副作用のリスクが上がる。
【飲み忘れ時の対応】
気づいた時点で服用する。この時、普段食後服用なら、忘れた時も食後に服用する。
05|血糖降下薬の飲み忘れ
ポイント:作用機序と、低血糖のリスクを考慮する
α-グルコシダーゼ阻害薬:食直前
【飲み忘れ時の対応】
食事中であればすぐ服用。食事の終わり際や食後に気づいたときは服用しない。
SU剤(例:アマリール):食前または食後
【飲み忘れ時の対応】
食後30分以内であればすぐに服用する。※その場合は低血糖が起きる可能性があるので注意
速効型インスリン分泌促進薬:食直前
【飲み忘れ時の対応】
食直前に忘れたら服用しない。次の食事から服薬を再開する
ピオグリタゾン/SGLT2阻害薬/メトホルミン/DPP4阻害薬
【飲み忘れ時の対応】
飲み忘れ時の基本の対応でOK

血糖降下薬は指示通りに服用できないと副作用のリスクが高くなることもお伝えしておきましょう!
06|抗精神病薬の飲み忘れ
SNRI/SSRI
【注意点】
空腹時では悪心の副作用が起きやすい
【飲み忘れ時の対応】
気づいたときに1回分服用(なるべく食後に)次回分が近い時は飛ばす
ラツーダ:夕食後
【注意点】
空腹時では効果が落ちる
【飲み忘れ時の対応】
寝る前までに気づいたら軽食を取って1回分服用する。
まとめ|服薬指導では飲み忘れた時の対応についても指導する
今回は具体例を挙げながらお薬を飲み忘れた時の対応について紹介しました
この記事の内容が、皆さんのこれからのお仕事に少しでも役立てば嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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