新人薬剤師さん必見!歯科処方のロキソニン、「痛くなかったら飲まなくていい」?

こんにちは。薬剤師のぷちゃんです(^^)/

ぷちゃん@薬剤師
ぷちゃん@薬剤師

今回は、歯科の処方における「ロキソニンの服薬指導」がテーマです。

ロキソニンの服薬指導でよくある間違いについて解説し、具体的な指導の例文抜歯後の患者さんへのアドバイスも紹介していきます!

01|歯科処方のロキソニンの服薬指導でよくある間違い

歯科の処方で「ロキソニン+抗菌薬」はよく見かける内容だと思います。

この処方箋を持ってきた患者さんの服薬指導をする時、どんなことに注意していますか?

よくあるのは抗生剤の飲みきり指導だと思います。

耐性菌の観点から、抗生剤の飲みきりの必要性を指導し、加えて下痢などの副作用について指導するのは、薬剤師ならだれでも思いつく内容だと思います。重要な指導です。

では、ロキソニンの方はどんな事を指導していますか?

患者さん<br>
患者さん

ロキソニンは痛みがなくなったら飲まなくていいですか?

薬剤師
薬剤師

「痛み止めなので、痛くなくなったら飲まなくていいですよ」

こんな指導はしていませんか?

実際私は、歯科でロキソニンが出ていたら、テンプレのように「ロキソニンは痛みがなくなれば中止しても構いません」と指導する薬剤師を何人か知っています。

私はこの指導を間違っている”と思っています。

次からはなぜこの指導が間違っていると思うのかについて詳しく解説します。

02|処方の違いに気づいていますか?

先ほど、「痛み止めなので、痛くなかったら中止」という指導を”間違っている”と書きましたが

厳密には、”場合によっては間違っている”が正しいです

この場合によってというのは処方内容によってはという意味です

歯科領域のロキソニン処方は2パターンある

1.頓服(疼痛時)

2.内服(毎食後など)

この2つの違いを気にせずに、ロキソニン=痛くなかったら飲まないと考えそれを患者に指導するのはNGです!

処方意図を理解し、正しくお薬を飲んでもらえる服薬指導をしましょう

03|ロキソニンの頓服処方と内服処方の違い

ロキソニンの添付文書の効能効果の欄にはこう記載されています

下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、
頸肩腕症候群、歯痛
○手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
○下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む

今回のテーマである歯科処方に関係するのは上から2つです

つまり歯科で処方されるロキソニンの処方目的には鎮痛消炎があります

これを踏まえて、ロキソニンの頓服処方と内服処方の違いを考えるなら

  • 頓服→鎮痛効果を期待して、痛い時に服用する
  • 内服→継続的な鎮痛効果と、消炎効果を期待して定時服用する

だと思います。

この2つの大きな違いは消炎効果を期待しているかどうかです。

そこをしっかり理解し、処方意図に合った服薬指導を行うことが重要だと考えています。

04|ロキソニンの服薬指導の例文

では具体的にどのようにお話しすれば患者さんに納得感がある服薬指導ができるでしょうか

患者さんも「ロキソニンは痛み止めだ」ということをご存じの方が多いです。

そのため、特に内服処方の場合は消炎効果にも触れて指示通り服薬するよう指導するのが重要です

【内服処方のロキソニンの服薬指導の例】

薬剤師
薬剤師

ロキソニンは痛みを抑えるだけでなく、炎症を抑える効果もあるので痛みがなくなっても指示通りに飲み切るようにしてください

薬剤師
薬剤師

痛みがないからと中断してしまうと腫れがひどくなったり、痛みがぶり返していしまうことがあります。

このように、ロキソニンには消炎効果もあるということと、自己中断することのリスクを説明することで、患者さんが納得してお薬を飲むことができると思います。

05|抜歯後の患者さんへのアドバイスと注意

抜歯後の腫れや痛みについて不安に感じている患者さんに、お薬の事以外でお伝えできるプラス1アドバイスを紹介します♪

【抜歯後の患者さんへプラス1アドバイス】

  • 濡らしたタオルで冷やす

抜歯後は組織が破壊され炎症が起きているため、患部に熱を持っている感じがします。軽く冷やすと気持ちいい。

保冷剤などで過度に冷やすのはNG:患部の血流が悪くなり、回復を遅らせてしまう恐れがあるため

  • 口をゆすぎすぎない

抜歯後に何度も口をゆすぐと血の塊がはがれて出血してしまう恐れがあります

  • 患部をいじらない・歯間ブラシの使用を避ける

抜歯後の患部をいじると感染リスク↑気になっても舌や歯間ブラシなどで触らないように注意

  • 熱い食べ物は避ける

熱い食べ物が刺激になって患部を傷つけたり、出血が再発したりする恐れがあるので避ける

  • 感染症に注意

発熱や膿など感染症状があればすぐ処方医に相談すること

  • 市販薬について

抜歯後の処方をきちんと服用しても痛みが続くことがあります。多少の痛みであれば市販の鎮痛剤で様子を見てもOKな場合があります。

1回服用量の違いを説明するのを忘れずに!ロキソニンの場合、医療用では歯科領域で1回120mgまで認められていますが市販では1回60mgまでです。

※ロキソニンSなどロキソプロフェン含有の市販薬は、歯痛には適応がありますが、抜歯後の炎症(腫れ)は適応じゃないので注意!

※痛みが激しい・長く続いている・腫れや化膿を伴うなどの場合は再受診を奨めましょう

06|まとめ

今回は、歯科処方でよく見かけるロキソニンの服薬指導についてお話しました

  • ロキソニンの処方意図には鎮痛と消炎の2つがある
  • ロキソニン=痛み止めと考え、自己中断を促す服薬指導は絶対NG
  • 消炎効果に触れた服薬指導で患者さんの納得感UP

ロキソニンの処方は毎日のように見かけると思います。

よく見る薬だからこそ、考えが浅くなり、処方意図を無視した服薬指導をしてしまわないよう注意が必要です。

今回お話しした内容が皆さんの明日からの服薬指導に少しでも役立てばうれしいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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